１．車輪フランジ接触面形状の定量評価

　急曲線や分岐器通過時の車輪フランジ／レールゲージコーナの接触面の形状は、乗り上がり脱線、摩耗や騒音の発生といった様々な問題の解決に必要な基本的な情報になります。そこで、車輪フランジ接触面形状を測定するための超音波測定手法を開発し、車輪フランジ部の接触面形状を定量的に評価しました。
　同質な物質が接触する接触部では、超音波は透過し反射波強度（エコー高さ）が低減します。このとき、エコー高さの低減率が高いほど、接触圧力は高いと考えられます。この性質を利用して接触面積や形状を測定するシステム（図1）を製作し、接触面積を定量的に測定する手法を開発しました。
　この手法を用いて、接触面形状におよぼす車輪やレールの表面形状やアタック角の影響を確認しました（図2）。また、エコー高さの低減率（接触圧力）分布は表面形状により異なり、平滑なフランジ面ではなだらかな分布であるのに対して、しゅう動により荒れたフランジ面では鋸刃状の分布となることがわかりました（図3）。今後、開発した超音波測定手法の精度向上を図り、乗り上がり脱線のメカニズム解明や摩耗予測などに資する情報を提供するためのツールとして活用する予定です。