2.実形状車両模型発射装置

 列車がトンネルを走行する際に発生するトンネル微気圧波は、列車先頭部形状とトンネル入口形状に依存するため、低減対策として、先頭部形状やトンネル入口緩衝工形状の最適化を図る必要があります。トンネル微気圧波やトンネル内に発生する圧力変動の現象を実験で再現するための試験装置として、車両模型発射装置があります。これまでは単純な円形断面の車両模型を用いていましたが、これらの現象の予測精度を向上させるために、複雑な実形状車両模型を発射できる装置を開発しました。開発した試験装置では従来の発射機構を改造することなく、円形断面の発射体により実形状の車両模型を押し出す方式を採用しました(図1)。実形状車両模型を用いることにより、従来の円形断面車両模型に比べ、トンネル壁面に作用する圧力(図2)や微気圧波に比例するトンネル内圧縮波の圧力勾配(図3)を精度良く再現できます。
 本装置を用いて、明かり区間の列車風や低周波音などの空力現象に関する実験を行うこともできます。