5.地形情報を用いた降雨時斜面災害の危険性評価手法

 降雨による斜面災害は、斜面表面を流下する水(渓流の水を含む)や表層土中に浸透した水の移動現象に大きく影響を受けます。そこで、三次元的な地形の起伏を考慮して斜面表面および土中の水の移動現象を計算し、この計算結果を利用して土石流と盛土崩壊に対する危険性を評価する手法を開発しました。
 土石流が発生する危険性は、渓流沿いの斜面の崩壊危険性と渓流の流量に依存します。そこで、三次元地形データ(図1)から渓流の流量を求める解析モデルを作成し、斜面内の雨水の移動量から求めた渓流沿いの斜面の崩壊危険性と組み合わせることで(図2)、土石流が発生する危険性を評価する手法を構築しました。また、自然斜面や切土に隣接する盛土(図1)の崩壊危険性は、隣接する斜面から盛土へ流入する雨水の量に依存します。そこで、盛土に隣接する斜面メッシュから盛土方向へ移動する水の量を計算し、これを用いて盛土が崩壊する危険性を算定する手法を構築しました(図3)。
 開発した手法を活用することで、降雨量に応じた斜面災害危険箇所を抽出することができ、防災対策優先順位の検討を支援するデータを得ることができます。