9.リニアレールブレーキの実用化

 レールブレーキは、電磁誘導現象を用いてレールに渦電流を発生させ、レールとの間に働く電磁力によってブレーキ力を得るものです。今回、実用化した交流励磁型リニアレールブレーキは、レールと非接触、停電時にも使用可能、レール温度上昇も少ないという特長があります。これまでに定置の軌条輪回転試験により、300km/hまでの電磁気的、熱的特性を検証し、設計通りの性能が得られることを明らかにしました。さらに、実台車にリニアレールブレーキのプロトタイプを搭載し(図1)、構内走行試験を行い、ブレーキ力と発電性能が設計値や軌条輪回転試験結果からの予測とほぼ一致すること(図2)、また、補助回路を用いて停電時でも起動可能であることを確認しました。
 目標である一台車あたり10kNのブレーキ力が得られること、主回路からの電力供給なしに自己発電にて動作可能なこと、磁気吸引力によって見かけの輪重を増加させることができることなどが本装置の特徴です。ブレーキ力は特に高速域ほど大きいので、例えば、在来線の特急車両や新幹線の高速走行時の粘着力低下を補完するブレーキ装置として期待されます。