6.セメントを使用しないジオポリマーまくらぎ

 火力発電所で発生する石炭灰とアルカリ溶液を混合して硬化させるジオポリマー法により、新しい環境負荷低減まくらぎを開発しました。これは、セメントを全く使用しないため、製造時のCO2排出量を約80%低減します。また、酸劣化等に対する抵抗性が高いため、今までコンクリートが使えなかった箇所にも使えます。
 これまで、ジオポリマー硬化体は、練り混ぜ等の短時間に凝結反応が生じるなど、製作時の作業性に問題がありました。しかし、試料練り混ぜ温度の調整やシリカ粉末の利用により凝結時間を長くする手法を開発して、安定して製品を作れるようになりました。そこで、酸性の漏水等による劣化のためにコンクリートを使用できない地域向けにジオポリマーPCまくらぎを開発しました(図1)。また、鉄筋の組み立てが煩雑な短まくらぎにおいて、鉄筋を使用しない鋼繊維補強短まくらぎを作製しました(図2)。その結果、両まくらぎとも既存のものに求められる要求性能を満たすことを確認しました(表1)。今後は、ビニロン等のポリマー繊維による補強も含めてジオポリマーまくらぎの実用化を目指します。