3.余震の影響を考慮した液状化地盤の変形量予測手法

 地震時に地盤の液状化が発生すると、一度上昇した地盤内の水圧が時間とともに消散する過程で地盤沈下が生じる可能性があります。東北地方太平洋沖地震の際の千葉県浦安地区では、水圧が完全に消散する前に余震が発生し、最終的に最大 0.8m 程度の地盤沈下が発生しました。従来の液状化地盤の設計では、水圧消散に伴う地盤沈下や余震による再液状化は考慮されていません。そこで、巨大地震を対象に余震の影響(図1上)も含めた液状化地盤の変形量の予測を行うため、水圧の上昇だけでなく消散過程も考慮できる地盤解析手法を開発しました。
 本手法を用いて浦安地区を対象に解析を施した結果、本震を経験せずに余震と同規模の地震が作用する条件では、液状化に伴う地盤沈下は生じませんでした(図1中)。一方、本震に続いて余震が作用する再現条件では、地盤の再液状化の影響により最終的な沈下量は本震のみより増大し、その値は観測された沈下量(約 0.8m)と概ね合致しました(図1中)。また、今回の本震・余震の組合せでは、本震時に一度液状化を経験し、余震発生時に過剰間隙水圧比(液状化の程度を表す指標で、1.0 であれば完全に液状化している状態)が 0.5 以上となっている場合、余震により再液状化の可能性が高まることがわかりました(図1下)。
 さらに、本手法を用いて、本震から余震発生までの時間間隔と余震の規模が、再液状化の可能性に及ぼす影響を把握しました(図2)。別途開発した余震を含んだ時系列地震動群の予測手法と組合せれば、余震時における再液状化の発生しやすさを簡易に評価できます。