4.緩衝工のあるトンネルにおける微気圧波の予測精度向上

 トンネル坑口から放射される微気圧波の対策として、列車突入側坑口(入口)における圧縮波の圧力上昇を緩やかにする緩衝工が多く用いられています。そのため、微気圧波の評価および低減対策の検討では、入口に緩衝工のあるトンネルにおける圧縮波の波形を精度よく予測する必要があります。
 そこで、現地測定および実形状模型を用いた実験(図1)を実施し、圧縮波高速計算法による数値解析との比較を行いました。その結果、数値解析の主な誤差因子として、圧縮波の圧力上昇量、車体からの流れのはく離による列車断面積の見かけの増加、列車走行位置の偏心量の 3 点があることがわかりました。これらの誤差因子を考慮して入力パラメータや数値解析モデルを補正したところ、図2 の例の場合、圧縮波の圧力勾配最大値の現地測定結果に対する数値解析結果の誤差が、トンネル入口における圧縮波(初期波形)では 11% から 1% に、トンネル出口(微気圧波に比例)では 50% から 15% に低減しました。
 この手法を用いることにより、トンネル緩衝工による微気圧波対策をより精度よく検討できるようになります。