1.新幹線用レール鋼製ノーズ可動クロッシングの開発

 新幹線の分岐器で使用されている高マンガン鋼製ノーズ可動クロッシングは、速度を低下させることなく通過することができる機能を有しています。しかし、超音波探傷検査が困難なことから内部傷の進展による損傷が危惧されています。そこで、超音波探傷検査が可能で、前後のレールとの溶接が容易なレール鋼製ノーズ可動クロッシング(図1)を開発しました。
 このノーズ可動クロッシングは、ウイングレール、可動レール、大床板の 3 要素から構成されています。可動レールは 80S レールをアーク溶接した二叉レールと特殊断面形状の 100K クレーンレールをガス圧接した後に先端部を削正して成形します(図2)。一方、レール等の発生応力を軽減させるために、大床板は 1 枚の鋼材から切削加工で製作し、これにレール等を組み立てる構造としています(図3)。
 試作品による転換試験を実施し、転換力および可動レールに発生する応力が許容値内であることを確認しました。耐摩耗性を向上させるための熱処理に ついては、長い可動レールの頭部を均一に硬化するために、未硬化部との境界がレール頭部で形成されない新たな熱処理方法を開発しました。また、レー ル探傷車と同様に、レール踏面からの超音波探傷検査を実施した結果、乗り移り部およびロッド取付け部直上を除き、一般区間と同様に探傷が可能であることを確認しました。