3.塑性域で使用する線ばね形レール締結装置の疲労耐久性の評価

 近年、国内で線ばね形レール締結装置(図1)の使用が増加しています。線ばねには、 使用時に塑性変形を生じるものがあり、弾性域での適用を前提とした従来の手法ではその疲労耐久性を十分に評価できませんでした。そこで、塑性域で使用する線ばねに適用可能な耐久限度線図を提案し、これを用いた評価手法を構築しました。
 塑性域での応力は、ひずみゲージを用いて容易に算定できないため、応力表記の耐久限度線図で直接評価することは困難です。そこで、線ばねの基本的な材料特性を用いて、応力表記された従来の耐久限度線図(図2 a)をひずみ表記に置き換える手法を提案しました(図2 b)。実物の線ばねに対して塑性域での疲労試験を実施し、提案した耐久限度線図は試験結果と概ね一致し、妥当であることを確認しました(図3)。さらに、塑性変形に伴うレール押え力の低下を表す限度線を提案しました。(図3、緑線)。本線図の適用により、線ばね形レール締結装置のより適切な性能評価が可能となりました。