7.電車線コネクタの疲労寿命推定手法

 電車線コネクタは、パンタグラフの通過に伴う振動により疲労損傷し、コネクタのリード線が断線すると、パンタグラフを破損するなどの障害が発生します。そこで予防保全のため、コネクタの疲労寿命推定手法を開発しました。
 振動に伴いリード線に発生するひずみは、取り回し形状に依存するばね定数や共振周波数などの動特性に大きく影響を受けます。これらの影響を解析的に求めるため、実物のコネクタの加振試験結果に基づき、より線を単線に置換した有限要素モデルを作成しました(図1)。このモデルにトロリ線およびちょう架線など電車線の振動を入力することで、リード線に発生するひずみが解析できます。疲労試験で求めた疲労寿命曲線(図2)とあわせて、素線切れに対する疲労寿命推定が可能となりました。
 営業線において、リード線の素線切れが発生した場所の電車線振動に対する各種形状のコネクタの疲労寿命を推定した結果、C型コネクタの解析による疲労寿命は、現地の事象とほぼ一致しました(図3)。
 今後は本手法を活用し、耐疲労性の高いコネクタの開発を進める予定です。