2.構造最適化手法による車両構体の強度向上

 近年、車両構体の衝突安全性や高機能化に伴い、高強度化や軽量化が強く望まれています。そこで、これらの検討が可能となる 1 車両モデルによる車両構体の構造最適化手法を開発しました。
 本最適化手法は、有限要素法により構体の 1 車両モデルを用いて応力解析(図1) を行い、高応力領域を抽出します。応力の大きい領域については、スポット溶接部などをより詳細にモデル化した、精度の高い解析モデルを構築します。このモデルの形状を最適化し、応力低減や軽量化を実現する構体構造を求めます。得られた構造を 1 車両モデルとして再構築し、改良された構体全体の応力分布を再評価します。高強度化と軽量化はトレードオフの関係にあるため、両者が要件を満たすまで反復計算を行うことにより最適解が得られます。例として既存の在来線電車の骨組構造について最適化を実施し、質量一定の条件では応力集中部において 40%の応力低減(図2)が、 応力一定の条件では 1 車両あたり 7%の軽量化(図3)が実現できることがわかりました。
 さらに、高応力化や軽量化だけでなく剛性評価も可能であり、高周波振動を抑制し て乗り心地を改善した高剛性かつ軽量な車両構体の設計など、既存の構体構造の改良 や新たな構体構造の設計などに活用できます。