4.粒子配向による圧電ゴムの性能向上

 圧電材料は、電気エネルギーと機械エネルギーを可逆的に交換できる性能を持って おり、センサやアクチュエータとして一般的に利用されています。このような圧電材 料の中で、柔軟性、壊れ難さ、成型のし易さといった利点がある圧電ゴムは、幅広い 分野での利用が期待できますが、従来の圧電ゴムは圧電性能が低く、一般的な圧電材 料の 1/10 程度であるという課題があります。
 そこで、圧電ゴムの製法を検討した結果、作製時に電圧を加えて圧電セラミック粒 子を配向させて成型する製法によって圧電性能が向上することを見出しました(図1)。 さらにゴムの弾性率、圧電セラミック粒子の粒子径、作製時に印加する電場強度等の 最適化により、d 定数(圧電材料に力を加えた際の単位力当りの発生電荷)が従来の 圧電ゴムの約 10 倍に向上しました。この値はセンサ等の条件として十分なものであ り、アンプを省略した省電力なセンサとして活用が可能です(表1)。また、圧電セラ ミック粒子の粒子量が少ないためヤング率が低く、防振用の材料としても活用できま す。この圧電ゴムの活用例として、軸受防振ゴムに内蔵させた試験を実施し、防振機 能を持ちながらアンプなしで軸受の損傷を判定できることを確認しました(図2)。