27. 小型で低コストな車体傾斜車両用空気圧式センタリングシリンダー

近年、曲線部の乗り心地向上策として、特別な台車構造を必要としない空気ばね車体傾斜を採用する例が増えています。しかし、空気ばね車体傾斜は、振子式に比べて曲線走行時の車体の横移動量が大きく、左右動ストッパー当たりによる乗り心地低下が課題になります。

このため、車体の横移動を抑制するセンタリングシリンダー(図1)を開発しました。センタリングシリンダーは、車体と台車間に左右動ダンパーと並列に取り付ける(図2)ことで、変位に応じた復元力を発生し、車体の横移動を抑制して、左右動ストッパー当たりを軽減します。駆動源には圧縮空気を使用していますが、シリンダーへの空気供給を制御する弁機構は、機械式でピストンロッド部に内蔵されているため、制御装置やセンサー等は必要なく、小型で低コストな構成を実現しています。

在来線特急車両を用いた走行試験の結果、左右動ストッパー当たりによって発生する2Hz程度の左右振動を低減し(図3)、曲線連続区間の左右乗り心地レベル(LT)を2.4dB程度低減できることを確認しました(図4)。

空気ばね車体傾斜車両に限らず、曲線走行時の左右動ストッパー当たりが課題となっている車両の乗り心地を改善できます。