30. トンネル内車両動揺発生メカニズム

トンネル内走行時の車両動揺は、車両に作用する変動空気力による可能性が指摘されてきましたが、変動空気力の発生メカニズムは明確になっていませんでした。

まず、現象の簡単な明かり区間における車両周りの流れの数値シミュレーションを、床下の台車位置に小規模の切欠きをつけた6両編成の高速車両を模擬した単純形状モデルを用いて実施しました。その結果、モデル床下の流速は、モデル側面の流速より遅くなり、両者に速度差が発生し、その速度差によりカルマン渦列(千鳥配置の渦列)と同様の大規模渦構造が形成され、これにより床下に蛇行流れ(左右方向の流速変動)が発生することを明らかにしました(図1)。

同様の数値シミュレーションをトンネル区間に対して実施したところ、モデル床下の蛇行流れはトンネル壁面に沿ってモデル側面にまで達しており、これがトンネル走行時に車体に作用する変動空気力の発生原因となっていることを推定しました(図2)。

数値シミュレーションで予測した床下の蛇行流れは、風洞試験でもその存在を検証できました。今後、より実車に近い車両モデルを用いて現象解明を進める予定です。