7. 車両用潤滑グリースの劣化評価基準の改訂

  • 車軸軸受と主電動機軸受で使用されるグリースの管理基準値を改訂しました。
  • 在来線の約8割の車両形式で主電動機軸受に使用されているリチウム複合石けんグリースに対し、耐熱性の指標である滴点の変化値に替わる新たな基準を提案しました。
  • グリースの劣化評価の目安となる新たな管理基準値として提案します。

潤滑グリースは、新幹線や在来線車両の軸受(図1)が正常に機能するためには不可欠であり、劣化の兆候を的確に判定し、必要に応じ新品に交換する必要があります。そのため、鉄道総研(旧技研)では、グリース劣化と関係する分析項目について交換の目安となる基準値を定めました。

近年、誘導電動機の導入による軸受の高速回転化や温度上昇に対応するために普及したリチウム複合石けんグリースでは、耐熱性能(滴点)の変化傾向がこれまでと異なり、劣化の程度と基準値が整合しない場合があることがわかりました。また、車軸軸受グリースの鉄分についてはフレッチング摩耗粉混入による鉄分増加の扱い、油分離率については算出方法の違いによる基準値への影響などを明らかにする必要がありました。そこで、これら3つの項目について、室内試験等の結果により劣化メカニズムを解明し(図2)、また現車で使用されたグリースの劣化状態の調査結果を踏まえ、管理基準値(表1)を新たに提案しました。この基準値は、従来の基準値では判定できなかった新しいグリースについても劣化状態を正しく評価でき、グリースを交換する時期(頻度)や、検査周期延伸の可否を判定する際の根拠となります。

図1 グリースの使用状況
図2 滴点変化のメカニズム
表1 改訂したグリースの管理基準値
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