9. 新しい接地構造による電力設備の耐雷性の向上

  • 電力設備の耐雷性向上のため新しい接地構造を開発しました。
  • 従来の構造に比べて、雷撃時に生じる過電圧が約50%に、接地構造内の電位差が約60%に低減することで、雷害の想定発生頻度は約20%に低減されます。

変電所等における地絡故障や雷撃への対策として、地中に埋設されるメッシュ状の電線(裸銅より線)と接地極から成る接地構造(図1)が用いられてきました。しかし、低周波用に最適化された従来の接地構造は、近年のICT技術を導入した変電所機器に対しては、雷対策機能が十分とは言えませんでした。

そこで、雷害に対応する新しい接地構造を開発しました。雷撃時に接地構造に生じる電圧上昇は設備の損傷に繋がるため、これを低減するために高周波電流を流しやすい扁平な矩形断面の裸銅線を採用しました(図2)。地中に図示の試験設備を埋設し比較実験した結果、新しい構造では注入点の最大電圧が約50%に低減できました(図3)。

次に、接地構造内に電位差が生じると避雷器などの耐雷設備の効果が低下し、設備損傷の原因となるため、電圧伝達特性の優れた矩形断面の被覆付銅線を追加し二層構造としました。その結果、注入点と端部の最大電位差を約60%に低減できました(図4)。

過去の落雷統計データから以上二つの効果によって、雷害の発生頻度が約20%に低減すると期待されます。導入にあたっては、電線種別の変更と電線二層化のため追加コストが必要ですが、変電所全体の工事費に対する割合は僅かです。

図1 従来方式の接地構造と試験条件
図2 提案方式の接地構造と試験条件
図3 注入点の電圧上昇の低減効果
(従来構造の最大電圧を100%とする電圧比)
図4 注入点と端部の電位差の低減効果
(従来構造の最大電位差を100%とする電圧比)
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