22. 高温超電導フライホイール蓄電システムの実証

フライホイール蓄電システムは、装置に内蔵した大型の円盤(フライホイール)を回転させることで電力を運動エネルギーに変換して貯蔵し、必要に応じて再び電力に変換するシステムです。

今回開発したフライホイール蓄電システムの実証機の特徴は、「高温超電導磁気軸受」で、回転軸側に高温超電導バルク体を、軸受側に高温超電導コイルを用いたため支持力が飛躍的に向上し、支える荷重に比べて軸受を小型にできます(図1)。

実証機(図2、図3)は、直径2m、質量4tonのCFRP製フライホイールを超電導磁気軸受で支持し、発電電動機で回転数を変化させるもので、300kWの電力を出し入れできること、25kWhの電力量を蓄電できることを実証しました。超電導磁気軸受は小型の市販冷凍機で冷却でき、液体窒素等の冷却剤も不要で、消費電力は出力の1%以下です。本実証機は、2015年9月から太陽光発電電力を平滑化する実証試験(山梨県設置)に供されています。本蓄電システムは、繰り返しの充放電に伴う劣化が無く低損失・長寿命・省メンテナンスな点も特徴で、鉄道の回生失効や電圧降下対策に適用できます。今後、鉄道用蓄電システムの設計を行います。