1. 短時間豪雨に対する盛土のり面工の効果

短時間豪雨にみまわれると、通常の降雨に対しては弱点のない盛土に崩壊が起きることがあります。そこで、実物大の模型盛土を用いた散水実験を行い、短時間豪雨による盛土の崩壊メカニズムを解明するとともに、のり面工の効果を明らかにしました。

実験により、短時間豪雨時には、線路上に降った雨が盛土深部へ浸透する量よりも供給される降雨量の方が多いために線路直下に水が溜まること、溜まった水がのり肩方向へ溢れるとのり肩部に侵食を生じさせること、溢れない場合はのり尻からの侵食が時間とともに拡大し侵食崩壊に至ることを明らかにしました。

さらに、図1、図2に示す模型盛土を用いて、短時間豪雨に対するコンクリート製プレキャスト格子枠工による対策効果を確認しました。実験の結果、のり面工を施工した方が盛土内水位の上昇を抑えて、崩壊の進展を遅らせられることがわかりました(図3)。また、未対策の模型盛土では累積雨量約480mmでのり肩まで崩壊に至ったのに対し、のり面工を施工した模型盛土では未対策の場合の約1.3 倍の累積雨量であっても局所的な範囲に留まりました。のり面工は崩壊を局所的な範囲に留め、盛土全体の崩壊を抑える効果があることを明らかにしました。