8. 忌避音を利用した鹿衝撃事故防止手法の開発

  • 鹿衝撃事故防止のため、鹿警戒声を利用した忌避音を考案しました。
  • 忌避音吹鳴により鹿目撃回数が約45%減少しました。
  • GISを利用した衝撃事故マップからの吹鳴区間選定手法を考案しました。

鹿の個体数増加と生息域の拡大によって、鉄道車両と鹿の衝撃事故が増えています。鉄道会社では鹿止柵や忌避剤などの対策を行い、一定の効果を得ていますが、衝撃件数が十分に減少しているとはいえません。そこで、既存の対策に加える新たな対策として、沿線から鹿を速やかに遠ざける忌避音を考案し、これを列車から吹鳴する衝撃事故防止手法を提案しました。

鹿は他の個体に危険を知らせるとき「警戒声」を発します。実際に、鹿に対して警戒声を吹鳴すると、鹿が音の方向を注視する性質を確認しました。また、鹿は犬を嫌うことから、鹿警戒声の後に犬の咆哮を続けた「忌避音」を作成しました(図1)。忌避音は、まず警戒声によって鹿の警戒心を喚起し、それに続く犬の咆哮により鹿を線路から離れさせることが出来ると考えました。また、衝撃事故情報をもとに、地理情報システム(GIS)を利用した鹿衝撃事故マップを作成し(図2)、沿線の植生や地形などの特徴を考慮した吹鳴区間の選定手法もあわせて考案しました。

衝撃事故が多い冬期の夜間(図3)に、走行する車両の先頭から、鹿衝撃事故マップを利用して予め選定した吹鳴区間で車両から忌避音を吹鳴し、鹿の目撃回数を45%減少させることに成功しました(図4)。忌避音の吹鳴により、列車接近時に鹿がいち早く沿線から離れたためと推察されることから、本手法の有効性が確認されました。

図1 忌避音に用いた警戒声と犬咆哮のスペクトル
図2 鹿衝撃事故マップ(○の大きさは衝撃事故件数を示す)
図3 事故の発生割合(3070件)季節別(左)と時間帯別(右)
図4 忌避音吹鳴による鹿目撃回数の減少
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