14. 回折X線解析法による経年レールの削正手法

  • 回折X線解析法により、経年レールの転がり疲労の影響深さは約1.1mmであることを確認しました。
  • 経年レールでは、0.5億通トン経過毎の0.1mm削正を適用する前に、0.3mm削正し、その後0.5億通トン経過までに再度0.3mm削正することを提案します。

転がり疲労によるレール損傷を抑制するために、レール削正(現在、一般的に新品レールでは0.5億通トン経過毎に0.1mm削正)が実施されています。削正周期や削正量を考慮し、効率的なレール削正を実現するためには、転がり疲労の影響範囲を定量的に把握する必要があります。最表層から深さ方向に定量評価できる回折X線解析法(転がり疲労の程度を表す指標としてX線結晶粒径と転位密度を得る)を用いて、二円筒試験片およびレールの転がり疲労層を評価しました。

レールに形成される転がり疲労による微小き裂の発生と回折X線解析法で得られる評価指標との関係から、微小き裂が形成される閾値は転位密度1015/m2以上であることがわかりました(図1)。

これをもとに、経年レール(直線区間・削正なし・4.5億通トン)を解析した結果、転がり疲労影響深さは約1.1mmであり(図2)、レール表層は微小き裂発生に近い状態にあることを確認しました(図3)。次に、経年レールを深めに削正することで(0.3mm削正)、微小き裂発生に近い状態になるまでに0.5億通トンかかり、現行の削正周期が適用可能です(図3)。新品レールでの0.5億通トン経過時の影響深さ(約0.35mm(図2))を考慮すると、0.3mm削正後、さらに0.5億通トン経過までに再度0.3mmの削正をすれば、経年レールに残された転がり疲労の影響を寡少にできると考えられ、経年レールにこの2回の削正手法を提案しました。この削正後、現行の削正作業に移ることで、敷設から現行の削正を行っている新品レールと同程度の転がり疲労の影響まで低減できると期待されます。なお、曲線区間は別途解析が必要です。

図1 評価指標とき裂発生(二円筒試験)
図2 提案した経年レールの削正手順
図3 経年レールの削正量と転がり疲労
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