23. ニューラルネットワークを用いた短時間先の遅延と乗車率の予測手法

  • 列車遅延データや乗車率データを使用して、現在時刻から数十分先までの列車遅延と乗車率を、ニューラルネットワークを用いて予測する手法を開発しました。
  • 実在通勤路線で検証した結果、列車遅延が概ね30秒以内の誤差で予測可能なことを確認しました。

列車遅延発生時には、指令員は現在の各列車の遅延や混雑が、数十分先にはどの程度になるか予測し、列車の間隔調整等の適切な手配の必要性を見極めています。しかし、従来の指令員の経験による数十分先の遅延予測や、運行管理システムの組み込み機能を用いた遅延予測手法では、現在の列車遅延量がそのまま継続する前提であったり、予測にあたり多数のパラメータの設定が必要であったりするため、推定精度や運用面で課題がありました。

そこで、現在時刻までの列車遅延、乗車率データがリアルタイムに取得できることを前提に、数十分先までの遅延、乗車率をニューラルネットワークで予測する手法を開発しました。本手法により、前日までの遅延、乗車率データによる事前学習を行った上で、当日、現在時刻までの直近数駅の遅延、乗車率データを入力することで、各列車の数十分先までの遅延、乗車率の複雑な推移を、比較的少ないパラメータ設定で予測可能です。

開発した手法を組み込んだプログラムを構築し、実在通勤路線を対象に、過去の約70日分のデータを使用して学習したうえで、9日分の列車遅延と乗車率を予測する実験を行いました。その結果、遅延について、突発的なトラブル発生時を除き、30秒以上遅延がある列車のみを対象とした場合、全予測データの約80%が、誤差30秒以内となることを確認しました(図1)。

本手法の活用時には、指令室内に列車運行予測システムを設置し、数十分先までの遅延、乗車率を予測、表示します(図2)。指令員はその結果を確認し、必要に応じて列車の間隔調整や運転整理を実施したり、遅延や混雑が予測される列車に対し、早めに旅客への案内をしたりすることが可能になります。

図1 予測誤差の累積比率分布
図2 列車運行予測システムの画面(例)
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