29. イットリウム系高温超電導コイルの起磁力と耐振動性の実証

  • 実機大のイットリウム系高温超電導コイルを製作し、コイル温度32Kで起磁力750kAを実証しました。
  • 最大加速度15G加振時の発熱は非加振時の12%増に留まり、剛性低下や通電特性の劣化が起きないことを確認しました。

イットリウム系高温超電導線材は従来の超電導線材よりも高い温度で利用できるため、浮上式鉄道の車載コイルに応用できれば、冷却・運用コストが低減され、軽量化も実現できます。そこで、実機大のイットリウム系高温超電導コイルを製作し、実運用に必要な起磁力(磁場の強さを表す指標:通電電流とコイルターン数の積)と耐振動性を実証しました。励磁した際の電磁力に耐えられるよう、コイルは専用に設計したアルミ合金製コイルケースに収納し(図1、2)、さらに振動による摩擦発熱を防ぐためにコイルとケースの隙間は樹脂で充填しました。

励磁試験では、コイル温度32Kで起磁力750kAを確認しました。常電導への転移やその前兆は確認されず、励磁上限温度は約40Kと試算されました。

加振試験では、製作したイットリウム系高温超電導コイルを起磁力700kAで励磁した状態で、真空容器外部の加振機からロッドを介して加振力を与えました。曲げ1次モードにて最大振動加速度15Gで20分間加振したところ、発熱量(図3に示すコイル温度上昇から算出)は非加振時の熱負荷の12%以下でした。また、コイルの通電特性や剛性についても加振の前後で性能低下はありませんでした。これらの結果から、実運用に必要な起磁力や耐振動性を実証し、浮上式鉄道の車載コイルに適したイットリウム系高温超電導コイルの製作手法および周辺構造の仕様を示しました。

図1 イットリウム系高温超電導コイルの外観
図2 コイル内部構造
図3 加振時のコイル温度上昇
PAGE TOP