松井 元英

-先輩職員インタビュー-

接触界面で生じる現象を解明し 接触部材の新材料開発に挑む

プロフィール
松井 元英
摩擦材料研究室 研究室長
平成9年入社

自身の研究成果が鉄道事業に生かされる
大学の研究とは異なるやりがいがある

レールや車輪、ブレーキ材料やパンタグラフなど。さまざまな部品で構成されている鉄道は、その多くが接触部材であり、摩擦や摩耗、接触に伴う疲労による劣化が経年により進みます。摩擦材料研究室は、これら接触部材が接触界面で発生する現象の解明及び新材料の開発を目的としています。

例えば、接触部材の摩耗や疲労を定量的に観察する方法を探るため、異なる分野で用いられていた評価実験手法を採り入れること。パラメーターを修正し、時にはパーツを入れ替えるなどして接触部材の評価に適応させていきました。入社当初から摩擦材料を研究テーマとしてきましたが、純粋に未知のテーマを研究する喜びを味わっていた学生時代に対して、現在は、「自身の研究が鉄道技術に活かされる」というやりがいが、研究を進める原動力となっているように思います。また、鉄道部品の事故、例えばレールのトラブルなどが発生した際には、私たちの研究室のメンバーが調査に参画します。なぜ、鉄道部品が壊れるに至ったのか、この調査結果は鉄道事業者のメンテナンス計画などに反映されるため、社会的貢献度の高さを常に感じています。

研究員一人ひとりの研究を支え
研究室全体の発展に寄与したい

研究室長を務めるようになった今は、研究員の相談に乗る機会が一気に増えました。彼らが円滑に研究を進められるよう支援していくことが、室長である私の使命です。現在、摩擦材料の研究員は私も含めて7名。研究員一人ひとりの研究が進むことで研究室全体の発展につながるのですから、常に研究室全体を注意深く観察して、研究員の悩みに応じていきたいですね。

鉄道総研の研究室は約50あり、どの研究室でも担当する研究分野の専門家として研究を進めています。しかし、研究を進めていく上では自身の研究だけに打ち込むのではなく、時には視野を広げることも非常に大切です。例えば、幅広い材料に興味・関心を抱くことで、現在担当している材料の見方が変わってくるかもしれません。

鉄道業界の発展に少しでも貢献できるよう、継続的に研究成果を出すこと。これが私の目標です。この目標を全うするには、前述の通り研究室全体を見渡し、全研究員の研究をバックアップしていく必要があります。私のアドバイスが研究員たちの研究の一助となればこれほど嬉しいことはないですし、さらに良い方法を研究員が見つけ出してくれたなら、なお嬉しく思うのです。

コラム:海外派遣について

海外派遣先で得た知見を
帰国後の研究につなげていく

鉄道総研では、1990年代から長期海外派遣を伴う共同研究を行っています。これまで、ドイツ航空宇宙研究所、ミュンヘン工科大学、ケンブリッジ大学やコロンビア大学など多数の大学・研究機関に所員が派遣されてきました。私も2012年から13カ月に亘ってスウェーデンに駐在。チャルマース工科大学で、共同研究に着手しました。チャルマース工科大学は鉄道の接触力学研究において世界有数の実績を上げています。そこで、同大学のシミュレーションによる解析手法と、当研究所の実験手法を融合させることになりました。まずは互いに共通する考えを抜き出しながら、双方を組み合わせられるようモデル化の検討を進めていきました。

海外での共同研究の場合、「日本と異なる文化や価値観を受け入れながら、望む研究成果を出していく」という特徴があります。研究者同士、互いの考えを共有・理解するには時間がかかりますが、だからこそ学べたことも多かったですね。海外派遣中に得たシミュレーションの解析手法を、いかにして鉄道総研の研究に活かしていくかが、今後の課題となっています。

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