第98回 鉄道総研月例発表会:集電技術

超異方倍率画像による架線振動観測


基礎研究部 真鍋研究室(集電力学) 室長 真鍋 克士

 超アナモフィックレンズ(1:80) を用いて撮影した架線画像から、架線の変位、傾斜、歪みを求め、これらから金具に作用する力、パンタグラフの接触力を推定し、さらに架線内を伝播する波動を方向別に分離することによって、ハンガでの波動の反射などを計測した結果について報告する。また、このような測定値から架線性能を評価する試みについて述べる。



架線の波動伝播による集電性能影響特性の解析


環境防災技術開発推進部(気象防災) 主任研究員 網干 光雄

 電気鉄道の高速化に対応するため、高速走行時においても安定した集電性能を維持することが重要な技術的課題の一つである。本発表では、高速走行時の架線・パンタグラフの運動に関して、架線の波動伝播がパンタグラフの接触力変動に与える影響について、理論解析及び基礎実験からその特性を明らかにするとともに、改善方法を提案する。



T型剛体架線の基本特性


電力技術開発推進部(電車線構造) 技師 竹村 巧

 剛体電車線はトロリ線断線の恐れがない、トンネル断面積の縮小、省メンテナンス等の理由から通常のカテナリ区間におけるパンタグラフ集電と相互乗り入れする地下鉄の電車線として幅広く採用されている。しかし剛体電車線は施工時における静高さにより集電性能が大きく影響されることがわかっている。そこで鉄道総研の集電試験装置において、標準的に採用されているT型アルミ架台剛体電車線を架設し、その基本特性を確認したので報告する。



パンタグラフ高圧母線の電流分布の測定と解析


電力技術開発推進部(電車線構造) 技師 沖山 修

 現在、日本の直流及び新幹線電車で複数の電動車(ユニット)を含む編成の場合、仮に編成中のあるパンタグラフが離線した場合、他パンタグラフからの転流により離線アークの低減を図ることを目的として、高圧母線で各パンタグラフ間を電気的につないでいるものが多い。一方高圧母線を設備した編成の特徴として、架線のエアーセクションに電車が進入したときに高圧母線を通して両き電区間を短絡するため、他電車の負荷の状況によって大電流が流れる場合がある。これらの現象について、実車試験の結果と併せて報告する。剛体電車線はトロリ線断線の恐れがない、トンネル断面積の縮小、省メンテナンス等の理由から通常のカテナリ区間におけるパンタグラフ集電と相互乗り入れする地下鉄の電車線として幅広く採用されている。しかし剛体電車線は施工時における静高さにより集電性能が大きく影響されることがわかっている。そこで鉄道総研の集電試験装置において、標準的に採用されているT型アルミ架台剛体電車線を架設し、その基本特性を確認したので報告する。



舟体の歪みと加速度測定による接触力測定装置


基礎研究部 真鍋研究室(集電力学) 研究員 長坂 整

 架線とパンタグラフ間の接触力測定は、集電性能の把握と架線設備の診断という面から強い要望がある。今回パンタグラフの舟体の歪みと舟体中央部の加速度から接触力を測定する方法について各種の計算と試験を行った。その結果、慣性力を計算する方法と適切な歪み測定位置などが明らかになり、周波数約60Hz程度までの力を測定できる見込みを得た。これらの計算と試験の結果について報告する。



レーザドップラー式距離測定器による電柱位置検知


電力技術開発推進部(電車線構造) 技師(主席)佐藤 勇輔

 電気検測車等の電柱位置検知は電柱位置検知器と車軸に取り付けた距離パルス発生器によっててわれている。この電柱位置検知器は投光器により電柱に投光し、その正反射を捕らえる光学的検出方式である。その方式では、橋梁で誤検知したり、トンネル内で検知できないことがある。そこで、レーザドップラー式距離測定器と軌道内に設備されたATS地上子を用いて電柱位置検知を行う方法について述べる。



パンタグラフ高さデータによる電車線のオーバーラップ構成の診断法


電力技術開発推進部(信号)主任技師 久須美 俊一

 新幹線のトロリ線張り替え原因は多くの場合、オーバーラップ箇所の局部摩耗である。特にエアジョイントについてはA線、B線の架設高さがトロリ線摩耗に大きな影響を与えることが明らかにされている。このオーバーラップ構成を電気軌道総合試験車(ドクターイエロー)データで診断が可能かどうか検討を行った。その結果、パンタグラフ高さデータとその曲率や勾配を使用することで診断が可能であるとの見通しを得たので報告する。



軌陸車による電車線検測システムの検討


電力技術開発推進部(集電管理) 技師 請川 真司

 電車線路を保全するにあたってトロリ線の摩耗を管理することは非常に重要なことである。予知保全を要求される現状では、従来の電気検測車における測定は少ない回数であり、より高頻度かつ高精度の測定が要求される。そこで、「保守区主体の電車線検測」という観点から、軌陸車を利用した検測システムを提案するとともに、その一環として、ナトリウムランプを利用した、摩耗測定装置を開発したのでその概要について報告する。


第99回 鉄道総研月例発表会

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