第109回 鉄道総研月例発表会:最近のシステム開発の成果

PCサーバーによるシステム構築


OA開発推進部(OAシステム)主幹技師 二階堂 徳也

 PCサーバーによるクライアント/サーバシステムの開発事例をもとに、システム構成及びその特徴、開発及び運用方式、応答及び処理性能等について報告する。事例の一つは、鉄道総研において分散サーバー構成で運用されている統合OAシステム(TheOA:テオ)についてを、もう一つは、高可用性及び大量データ処理に特徴がある健康保険業務支援システムについてを紹介する。



鉄道技術文献検索システム(RAIRAC)の開発


技術情報センター 技師(係長) 松岡 彰彦

 インターネットに代表されるネットワークの進展に伴い、情報提供の在り方も時間的、空間的制約を超えて、利用者がいつでも、どこでも自由に検索・閲覧できる新しいサービスが求められています。これらのニーズに応えるため、鉄道総研においても現在、電子図書館システムの開発が進められています。本発表では、その一環として昨年度会員に対して公開した鉄道技術文献検索システム(RAIRAC)を中心にシステムの概要を紹介します。



旅客移動モデルと料金徴収方式


OA開発推進部(情報システム) 主幹技師 田中 幹夫

 鉄道や有料道路等の交通機関の自動料金徴収を利用者のID情報により行うシステムは、幾つかの特長を備え優れたサービスを実現する可能性を持っている。しかしシステム側負荷が大きく、構築方法や性能、コストの解析・評価が課題となる。ここでは、その解析の為の旅客移動モデルを提案し、それに基づき必要な情報の複製分散配置、及び、移動配置により自動料金徴収システムを実現する方式に関して解析・評価を試みた結果を述べる。



視覚障害者向け誘導案内システム


輸送システム開発推進部(列車制御) 技師(係長) 松原 広

 近年、高齢者や障害者などに配慮したバリアフリー化の検討が、各旅客会社や運輸省などで活発になされている。総研においても交通弱者向けのシステムの研究開発をおこなっており、昨年度視覚障害者を対象にした誘導案内システムを試作した。これは従来の視覚障害者用案内システムではできなかった音声入力を用いた高度な誘導案内が可能なものである。本発表では、システムの概要および駅の誘導案内サービスの方法などについて述べる。



旅行業電子取引システムの開発


OA開発推進部(情報システム) 技師(主席) 鈴木 尚子

 情報処理振興事業協会では企業間高度電子商取引推進事業の1つとして、旅行業に標準メッセージを利用したEDIの適用可能性を検証するためのプロジェクトを実施し、総研も参加した。本年度は旅行エージェントと商品提供側で電子商取引(予解約・照会)を行うためのシステム開発及びその実証実験を行ったが、本報告会ではプロジェクトの概要及び標準メッセージ方式を用いた旅行業電子商取引の利点及び問題点を述べる。



電気設備検査保全システムの開発


OA開発推進部(情報システム) 主任技師 八木 雄策

 設備データ(設備図面、台帳、検査データ等)を、各種保全業務で共有し一元管理すれば、保全事務作業の効率化や設備データの品質向上等が期待できる。検査については、データ収集にハンディ端末を導入した。現場判断(前回検査値参照等)支援と収集データの区所集約・確認・活用(修繕設備検索等)の流れを、年間検査計画、月間作業計画(検査日・要員割付)、作業日誌作成等の作業管理の流れと関連付けて総合的にシステム化した。



駅構内入換計画自動作成システムの開発


輸送システム開発推進部(計画システム) 主幹技師 富井 規雄

 現在開発中の、駅での入換計画を自動的に作成するシステムについて、その目的、機能、現時点での評価結果について報告する。本システムは、駅における車両の入換計画を自動的に作成することを目的としている。その際、引上線への進路の有無、引上線や番線の競合、入換の輻輳、番線での最小停車時分、本線列車との交差支障などを考慮する。まだ改良の余地はあるものの、中規模の駅に対して実用的な解が得られる見通しを得ている。



乗務員交番表自動作成システムの開発


総務部 技師(主席) 阪口 隆

 乗務員交番表作成は、制約が複雑であると同時に、制約・目的の曖昧さや区所による相違が大きく、従来の手法ではシステム化が困難であった。計画業務を自動化するシステムの開発では、計画の目的や制約条件の表現、マンによるこれらの設定変更、表現された問題の解探索などの手法発見が鍵となる。本開発では制約論理という新しい解法をベースにこれらの手法を考案し、迅速な交番表作成が可能な自動作成システムの開発に成功した。


第109回 鉄道総研月例発表会

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