第119回 鉄道総研月例発表会:新しい耐震設計法(橋梁)

橋梁の耐震設計の概要


構造物技術開発事業部(コンクリート構造) 主幹技師 佐 藤 勉

 新しい耐震設計標準が、平成10年12月に運輸省から通達されている。この耐震設計標準の概要主として橋梁・高架橋に関する耐震設計の基本について発表する。主な内容としては、耐震性能と部材の損傷レベルの設定方法、地震時の応答値の算定、部材のモデル化の基本および耐震性能の照査方法について、その全体概要を紹介する。



鉄筋コンクリート部材の変形性能と履歴モデル


構造物技術開発事業部(コンクリート構造) 技師 田中 寿志

 鉄道構造物等設計標準(耐震設計)に基づいて、鉄筋コンクリート部材の耐震性能を照査する場合の変形性能算定方法と履歴モデルについて述べる。ここで用いる変形性能算定方法は、材料の非線形特性、部材の損傷状態を考慮して、水平交番載荷試験の結果に基づき各損傷レベルの限界点を定めたものである。また、鉄筋コンクリート部材を動的解析により照査する場合に一般的に用いる履歴モデルについても述べる。



鉄骨鉄筋コンクリート部材の変形性能と履歴モデル


構造物技術開発事業部(鋼・複合構造) 技師 平  暁

 鉄道構造物の新しい耐震設計法では、耐震性能を照査するために、部材の損傷レベルと関連付ける必要がある。そのためには部材の耐力及び変形性能を適切に算定しなければならない。そこで、充腹型鉄骨を鉄筋と共に用いる構造を対象に、交番載荷試験を行い、以下の検討を行った。1)変形性能の定量的な評価法の検討。2)パラメータ範囲の評価法に対する適応性の検討。3)部材の履歴特性を適切に表現できる復元力モデルの検討。



コンクリート充填鋼管部材の変形性能と履歴モデル


構造物技術開発事業部(鋼・複合構造) 主幹技師 村田 清満

 鉄道構造物の新しい耐震設計法では、構造物の耐震性能は、構造物の構成要素である部材の損傷レベルと関連づけて照査する。したがって、部材の損傷レベルに対応した変形量の評価が重要となる。また、地震による構造物の応答値を推定するためには、構造物の荷重・変位関係(骨格曲線)と除荷時の履歴法則からなる復元力モデルを用いた動的応答解析が有効である。本報告は、円形断面のコンクリートの充填鋼管部材を対象に、部材の損傷度に対応した変形量の定量的評価法、および復元力モデルについて紹介する。



鋼部材の変形性能と履歴モデル


構造物技術開発事業部(鋼・複合構造) 技師 池田 学

 構造物の耐震性能を適切に評価するためには、構造物を構成する部材の耐力および変形性能を精度良く評価する必要がある。また、動的解析を行う際には、部材の履歴特性を表現できる復元力モデルを用いる必要がある。そこで、鋼製柱の交番載荷実験結果を基に、特に降伏以後の耐力および変形性能について、影響を及ぼすパラメータを確認し、その評価法について検討した。また、同様に実験結果を用いて、履歴特性についても検討した。



非線型スペクトル法によるRC橋脚の耐震設計


構造物技術開発事業部(コンクリート構造) 技師 柏原 茂

 地震時の構造物の応答値を算定する方法として、地盤種別毎に設定した地震動を用いて算定した非線形スペクトル法がある。この方法は地盤種別、構造物の等価固有周期、降伏震度により必用な耐震性能を比較的簡易に照査できるものである。RC橋脚を例にして、設計の手順および耐震性能の照査方法について紹介する。



時刻歴応答解析によるRC橋脚の耐震設計


構造物技術開発事業部(コンクリート構造) 技師 下野 一行

 一般に時刻暦応答解析による耐震設計は、構造物の最大応答値を予測することを主として用いられていることが多い。時刻暦応答解析による応答値は、復元力、慣性力および減衰力の影響を相互に受ける。したがって時刻歴応答解析により構造物の地震時応答値を予測する場合、これらを構成する条件項目の影響について考慮する必要がある。本報告は、単柱式RC橋脚をモデル化して時刻歴応答解析を行い、応答値に与える影響について紹介する。



RCラーメン高架橋の耐震設計


構造物技術開発事業部(コンクリート構造) 技師 谷村 幸裕

 従来、RCラーメン高架橋の耐震設計は静的線形解析を主体に設計されていたが、「鉄道構造物等設計標準耐震設計」では、大規模地震に対しては動的非線形解析によることが原則となった。一般的な鉄道RCラーメン高架橋の場合は、簡易な動的解析である非線形スペクトル法によることができるが、この方法を用いて耐震照査を行う場合のRCラーメン高架橋の上部構造に関する具体的な照査方法について紹介する。



支承部の耐震設計


構造物技術開発事業部(鋼・複合構造) 主任技師 杉舘 雅雄

 これまでの大きな地震における橋梁の被害の多くは支承部に集中していた。先の兵庫県南部地震においても同様の傾向であった。これらの多くの貴重な経験をもとに新しい耐震設計標準では、支承部についても橋脚等の部材と同様に、橋梁全体の耐震性能と支承部の損傷レベルを関連付けた新しい耐震設計手法を提案した。ここでは、従来との相違点を中心とした支承部の耐震設計法の概要と耐震照査事例について紹介する。


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