構造物技術開発事業部 部長 村田 修
鉄道の構造物で橋梁は約12万、トンネルは5千あり、建設後50年を経過するものも多くある。これら構造物の維持管理は重要な課題であり、鋼橋や橋梁下部工の健全度評価システム(BMC,IMPACT)、トンネル診断のエキスパートシステムなどを開発してきた。今後さらに各種構造物の検査、診断、補修、補強技術の開発に力を注ぐ予定であり、今回の発表では、従来行ってきた技術開発の概要および今後の新技術の展望を概説する。
構造物技術開発事業部 主任技師 鳥取 誠一
鉄筋腐食は構造物の耐久性、耐荷性、美観等に大きな影響を与える。ここでは、まず鉄筋腐食の原因として、ひび割れ、コンクリートの中性化および塩化物イオンを取り上げ、これらの影響を受けた場合の鉄筋腐食の進行過程とそれに基づく耐久性評価法を説明する。さらに、鉄筋腐食の進行過程を考慮した構造物の検査、補修法等についても述べる。
構造物技術開発事業部(コンクリート構造) 主任技師 岡本 大
鉄筋コンクリート構造物の補強は大きく分けて、経年劣化等による構造物の耐力低下を補うことを目的とした補強と、考慮する荷重(活荷重、地震力等)の見直しに対応するための構造物の性能向上を目的とした補強がある。後者の代表的なものとしては耐震補強があり、本報告では主に、鉄筋コンクリート構造物の耐震補強工法のうち、ラーメン高架橋柱および橋脚の鋼板巻きたて補強工法の効果および補強設計方法について紹介する。
構造物技術開発事業部(鋼・複合構造) 主任技師 杉舘 政雄
現在、鋼橋の半数が60年以上経過し、100年を越える橋梁も見られる。そのような中で、昭和40年以前に製作されたリベット桁においては腐食による耐力低下が懸念されている一方で、古桁に対する延命化が大きな課題となっている。そのためには耐力評価方法が重要となるが、過去に行われた古桁を用いた載荷実験結果を参照し、腐食状況をFEM解析でシミュレーションし、耐力評価の妥当性を検証したので紹介する。
構造物技術開発事業部(基礎・土構造) 主任技師 羽矢 洋
橋梁下部工およびラーメン高架橋の健全度診断のサポートを目的に、新しくデータベースシステムを開発した。このシステムの構築により、インターネットを通じて「細やかな情報提供とユーザー間の情報交換サービス(総研からのお知らせコーナー、下部工診断に関するQ&Aコーナー、ユーザーによる公表論文紹介コーナーなど)」および「データベースサービス(衝撃振動試験結果、構造物緒元、現状写真など)」の提供が可能となった。
構造物技術開発事業部(基礎・土構造) 技師(主席) 小島 謙一
鉄道構造物においては高架橋形式が増えているが、依然、盛土構造も多く、特に在来線では多数見受けられる。盛土は経済的であること、補修が容易であるなどの利点がある。しかし、降雨には弱く、しばしば災害が発生する。また、兵庫県南部地震で示されたように地震による被害も発生しており、その対策・補強工法が要求されている。ここでは、既設盛土の新しい降雨、耐震補強工として補強土工法を適用した対策・補強工について報告する。
構造物技術開発事業部(トンネル) 主任技師 小島 芳之
変状トンネル対策工設計の合理化・定量化を目的として、覆工模型実験、数値解析、事例分析を経て、「変状トンネル対策工設計マニュアル」を作成した。本発表では、このマニュアルで提案した設計体系について概説し、以下の手法の考え方について述べる。
@ トンネル覆工の変状程度(補強レベル)に応じた標準設計
A ひび割れ進展を考慮した骨組み解析法による覆工耐力・対策工効果の評価法
Copyright(c) 1999 Railway Technical Research Institute