第298回 鉄道総研月例発表会

日時 2016年03月16日(水) 13:30〜16:55
場所 ベルサール神保町 3F Room 3+4+5
主題 環境工学に関する最近の研究開発

プログラムと発表内容

13:30~13:45
沿線環境に関する最近の研究開発

鉄道車両の走行に伴って生じる騒音、地盤振動、トンネル微気圧波などは、沿線に環境問題を引き起こす場合があり、その低減が重要な課題となっている。鉄道総研では、現車試験、実験室内試験、数値シミュレーションなどの手法を用いて、これらの現象に対する発生メカニズムの解明、予測・評価、低減対策に関する研究開発を進めており、それらに関する最近の主な取り組みの概要を紹介する。

発表者
環境工学研究部 部長  長倉  清

13:45~14:10
レール継目衝撃音の騒音・振動特性の評価

鉄道車両がレール継目部等のレール不連続部を通過する際に発生する衝撃的な音を効果的に低減するためには、現象解明やこれを予測するモデルが必要である。本発表では、レール継目部における衝撃音について、営業線での騒音・振動測定の結果から、その速度特性や周波数特性、車両重量等に関する依存性、音源別寄与度等を紹介する。また、測定結果を基に構築した衝撃音予測モデルを用いて、実測結果との整合性、各種パラメータに対する影響等について紹介する。

発表者
環境工学研究部 騒音解析研究室 副主任研究員  末木 健之

14:10~14:35
2次元音圧レベル分布を用いた新幹線騒音推定手法

新幹線車両から発生する騒音を効率的に低減するためには、車両各部位の音源が地上25m点での騒音に与える影響を把握することが必要である。本報告では、2次元マイクロホンアレイを用いて車両まわりの各音源のパワー等を推定する手法を紹介する。次に、1次元マイクロホンアレイを用いて軌道条件等の差異に起因する車両下部音の変化および防音壁の回折減衰効果を評価する。最後に、地上25m点の騒音に対する各音源の寄与度を推定する手法について説明し、その結果を報告する。

発表者
環境工学研究部 騒音解析研究室 主任研究員  山崎 展博

14:35~15:00
3次元解析による高架橋、地盤、建物の振動シミュレーション手法

列車走行に伴う地盤や建物に生じる振動の発生・伝搬のメカニズムを解明し、有効な予測や対策を検討する上で予測シミュレーションは重要なツールである。近年の計算機能力の向上により、従来は実施が困難であった高架橋、地盤、建物の3次元一体モデルに対して列車の移動を考慮した振動解析が行えるようになった。本報告では、新幹線高架橋近傍の建物を対象とした3次元振動シミュレーションについて検討した結果を紹介する。

発表者
構造物技術研究部 建築研究室 室長  伊積 康彦

15:00~15:25
トンネル微気圧波の放射における地形条件の影響

新幹線の高速化や新線建設のためには、より効果的な微気圧波対策を可能とする微気圧波予測精度の向上が不可欠である。鉄道総研では近年、微気圧波の放射に関する予測精度向上のため、この現象を点音源と地形条件の影響に分離した音響学的な理論モデルを構築している。本発表では、微気圧波の音源モデルについて簡単に述べた後、単純化された地形条件が微気圧波に与える影響を調べた模型実験結果を報告する。

発表者
環境工学研究部 熱・空気流動研究室 副主任研究員  宮地 徳蔵

15:25~15:40
休 憩

15:40~16:05
トンネル内温熱環境シミュレーション検証用模型実験

トンネル内に設置された換気設備の消費電力削減などの検討には、トンネル内の温度を高い精度で予測することが重要である。これまで開発を行ってきたトンネル内温熱環境シミュレーションの精度向上を目的として、シミュレーション検証のためのトンネル内温熱環境模型実験装置を製作した。製作した実験装置を紹介するとともに、模型実験とシミュレーションの比較結果を報告する。

発表者
環境工学研究部 熱・空気流動研究室 副主任研究員  斎藤 寛之

16:05~16:30
トンネル内を走行する車両屋根上流速の解析

本解析では、トンネル内を走行する車両屋根上流速の解析を目的に、これまで考慮されてこなかった境界層の影響を考慮した3次元数値流体解析を実施し、車両屋根上流速の評価を行った。さらに、碍子オオイや台車の屋根上流速に対する影響を検討したので、それらの結果を報告する。また、パソコンで解析できる簡易評価法とその計算結果を紹介する。

発表者
環境工学研究部 車両空力特性研究室 室長  菊地 勝浩

16:30~16:55
車両模型走行装置を用いた横風空気力特性風洞試験

強風時の車両走行安全性評価に必要となる空気力係数の評価精度向上を目的に、新たに開発した車両模型走行装置を用いて横風による車両に働く空気力に及ぼす走行の影響を評価するための風洞試験を行った。また、縮尺1/60相当の車両模型の走行速度や風洞風速ならびに風洞吹出口に対する車両模型走行装置の設置角度などを変化させて、単車と三両編成の先頭車、中間車の車体表面圧力分布を測定し、空気力を評価したので、それらの結果を報告する。

発表者
環境工学研究部 車両空力特性研究室 主任研究員  鈴木 実

司会:斉藤 実俊 (環境工学研究部 熱・空気流動研究室 室長)

都合により、プログラムを変更することがあります。