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(財)鉄道総合技術研究所 会長 松本 嘉司
(財)鉄道総合技術研究所は、鉄道の発展と学術・文化の向上に寄与することを目的として1986年に創立されました。 |
リスク管理戦略
東京大学大学院工学系研究科 教授 近藤 駿介
近年、技術をめぐる失敗が経営組織や社会に与える影響の大きさ、技術変化の速さ、顧客の信頼や卓越を求めての競争の激化等を反映して、そうした失敗に係るリスクを適切に管理することの重要性に対する認識が高まってきて、方法論的にも、リスク源の不確実性に対して保守性で、結果の不確かさに対して危機管理対策で対抗する伝統的アプローチを超えて、より戦略的なアプローチが求められるようになってきている。この講演では、原子力開発利用分野におけるリスク管理活動の研究からみた、新時代における高度技術活動のリスク管理のあり方について、その基本となる目標設定、リスク推定、組織文化のあり方を含むリスク管理方策の要点を概説し、幾つかの提言を行う。 |
(財)鉄道総研 専務理事 秋田 雄志
鉄道の安全性・信頼性水準の実績を概括し、鉄道システム全体から見た場合の、特に安全性に関わる技術的課題を、現在の取り組みを含めて概観する。また、最近の国際規格ではリスクの許容水準等の目標を設定し、対象システムがそれを満たす論拠や事前検証を要求する流れにある。数量的もしくは確率論的なアプロ−チを加味した系統的な安全性・信頼性管理方式の適用は今後の1 つの方向であり、わが国に相応しい新しい管理方式の検討が必要になりつつあることを提示する。 |
(財)鉄道総研 鉄道力学研究部 部長 鈴木 康文
2000年3月に営団日比谷線における脱線衝突事故が発生し、その事故調査検討会の報告書において、急曲線低速走行時の乗り上がり脱線に関する研究の深度化の必要性が指摘された。こここでは鉄道総研が行ってきた乗り上がり脱線に関する研究について紹介する。鉄道総研構内での実車両による脱線走行試験、実験装置によるクリープ力特性試験、営業線でのレール摩擦係数調査、走行シミュレーション解析等により乗り上がり脱線のメカニズム解明を進めてきた。得られた知見をとりまとめた結果を紹介するとともに、乗り上がり脱線に対する新しい安全性評価法ならびに乗り上がり脱線防止を考慮した軌道や車両の適正な設計・保守方法等の検討結果について紹介する。 |
(財)鉄道総研 構造物技術研究部 部長 村田 修
膨大な数量の鉄道構造物の健全度を効率的かつ的確に診断し、適切な維持管理を行うことは列車の走行安全性を保証するうえで、極めて重要な課題である。本報告では、まず、鉄道構造物の概況(数量、劣化や損傷の状況等)を紹介する。次に、鉄道総研で最近研究開発している、既設コンクリート構造物健全度診断システムや圧電デバイスなどを用いたインテリジェントマテリアルの非破壊検査への適用などの新技術を紹介する。さらに、これらの健全度診断結果などを用いて最適な維持管理計画を立案する一手法のリスクマネージメントについても述べる。 |
(財)鉄道総研 防災技術研究部 研究室長 芦谷 公稔
兵庫県南部地震以降、気象庁等の公的機関による全国ネットの高密度な地震観測網が整備されるとともに、これらの情報を活用したリアルタイム地震防災システムに関する研究開発が進んでいる。鉄道総研では、近年の地震学等の知見を踏まえた早期地震警報のための新しい地震検知方法や、気象庁が配信を計画しているナウキャスト地震情報を活用した列車制御システム(EQAS:Earthquake Quick Alarm System)、また、地震時の構造物の被害状況を簡便に把握する方法や、気象庁の1kmメッシュの面的推計震度情報を活用して運転再開を支援するシステムの開発に取り組んでいる。ここでは、それらの成果の概要を紹介する。 |
(財)鉄道総研 信号通信技術研究部 部長 平尾 裕司
鉄道システムの信頼性や安全性確保のための一連のプロセスを規定するRAMSの国際規格が新たに制定された。高い安全性と信頼性が求められる信号システムについては、日本においてもかなり早い段階からコンピュータ制御の安全性技術指針の作成などを行っており、このような信号システムにおけるRAMS対応について安全性の定量的評価を含めて紹介する。また、信号システムのソフトウェアへのフォーマルメソッドの適用など、新たな取り組みについても言及する。 |
(財)鉄道総研 人間科学研究部 部長 四ノ宮 章
ヒューマンエラーに起因する事故・故障の防止対策は、(1)人間の信頼性の向上によるエラー低減対策、(2)作業環境・作業条件の適正化によるエラー低減対策、(3)エラー発生を事故に繋げない対策、(4)人間を関与させない(自動化)対策に分けられる。本講演では、まず、列車衝突事故防止対策を事例として、鉄道におけるヒューマンエラー事故防止対策の歴史的変遷を概説する。次いで、新しい運転適性検査体系の提案、パソコンを活用した異常時対応訓練システムの開発、持久性体力に着目した体調管理対策の提案、安全風土の評価手法等、個人・集団の信頼性向上に向けた最近の鉄道総研におけるヒューマンファクター研究の取り組みについて紹介する。 |
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