平成14年度 文部科学大臣賞【研究功績者】

受賞業績:横風に対する車両の空力特性に関する研究
受 賞 者:前田 達夫 (まえだ たつお)
 
【業績】
  従来、強風時の列車走行規制は停止した車両に対し直角方向に働く風のみを評価対象として算出していたため、列車の受ける力を十分に反映したものとはなっていなかった。
  氏は、鉄道における合理的な強風時運行を可能とするため、車両形状と線路構造物形状を系統的に分類し、それらを複合的に組み合わせた風洞試験を実施し、横風により車両に働く力が、車両形状のみならず、線路構造物形状に依存するとともに、自然風と列車速度の相対的な風により、列車が風向によって異なる力を受けることを明らかにした。代表的な車両形状と橋梁、築堤などの線路構造物形状の組み合わせについて、自然風と列車速度の相対的な風の角度別に空気力係数を数値化し、これらを従来の算定式の係数に置き換えることによって、合理的な風の影響評価を可能とし、強風時における安全性の高い列車運行を実現した。さらに、それらの結果に基づき、防風柵に関する風洞試験を実施し、その防風効果を明らかにした。
  氏の研究成果は、JR各社等の運行規則に反映されるとともに、強風による運転規制頻度の高い橋梁に対して防風柵が設置される等、強風時における鉄道の安全性の向上と安定運行の確保がなされた。

 
【受賞者からのコメント】
  車両形状と線路構造物形状を系統的に分類し、風洞試験を実施し、横風により車両に働く空気力に対する車両形状と線路構造物形状の影響を調べました。そして、列車転覆限界風速に対する車両形状、線路構造物形状、列車速度と強風の風向との関係を評価しました。また、防風柵に関する風洞試験を実施し、防風柵の防風効果を調べました。今後、自然風を模擬した風洞試験を実施して、更に空気力の評価の精度を高め、強風時の安全かつ効率的な運転規制法の確立を目指したいと考えています。


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