WCRR2003が開催されました
― 世界の鉄道研究にはずみ ―
去る9月28日から10月1日にかけて、英国・エジンバラのエジンバラ国際会議場において第6回世界鉄道研究会議(WCRR2003)が盛大に開催されました。今回のWCRRは、英国の鉄道安全標準化委員会(RSSB:Rail Safety and Standards Board)が事務局となり、「誕生からルネッサンスへ」をスローガンとし、既存の鉄道事業の最適化による鉄道の再活性化を目指す研究に力点がおかれました。
RSSB側の発表によると参加者数は、世界39カ国から700名を超え、日本からはJR関係者を中心に80名以上が参加しました。全発表論文件数は268件で、口頭発表は165件(日本=33件)、ポスター発表は103件(日本=17件)でした。発表内容は、車両・インフラ性能の向上、安全性強化、保守の効率化・省力化、乗り心地やサービス改善、輸送力・生産性向上、コスト削減など多岐に渡っており、中でも、日本の発表内容の質の高さが目立ちました。会議は論文発表ばかりではなく、各国の鉄道技術の研究リーダーによる基調講演やワークショップによるディスカッションも行われ、参加者が会議テーマに関する世界の動向や戦略的な議論に触れる機会も得られました。
また、同時に開催された展示会には、37の企業・団体が参加し、日本からは鉄道総研が提供したJRブースのほか、三菱重工鰍ェ出展しました。
29日の全体会議では、各大陸ごとの研究開発の重点事項が紹介され、日本からは、鉄道総研の副島理事長が「アジアにおける鉄道技術の研究開発」と題した講演を行いました。翌30日の全体会議では、運行の安全性、車両重量、輸送量など鉄道輸送における様々な限界を突破するための研究内容に焦点がおかれました。会議最終日の10月1日の全体会議では、「ユーザ本位の鉄道研究および技術ニーズ」というテーマが採り上げられ、日本からJR東海の中川彰常務取締役が「鉄道において必要な技術および研究の展望」、JR東日本の石田義雄副社長が「JR東日本の研究開発への取組み」と題した講演を行いました。
全ての論文発表が終了した30日の夜には、エジンバラ郊外のホープタウンハウスに場所を移し、公式晩餐会が盛大に行われ、発表論文の中から、運転、車両、インフラ、鉄道システム分野のほか、技術革新、戦略的刷新、若手研究者、ポスターといった分野毎に1件、計8件に優秀論文賞が授与されました。日本からは、JR九州運輸部検修課の池永良治主席が発表を行った「新マニュアルによる車両故障防止」に対して、戦略的刷新の分野での優秀論文賞が授与されました。
なお、次回のWCRRは2006年の6月にカナダ・モントリオールで開催されることが発表されました。
【参考】
WCRRは、Rail Safety and Standards Board(RSSB)およびAEA Technology(AEAT)、International Union of Railway(UIC)、Association of American Railroads(AAR)、鉄道総研、Deutche Bahn (DB)、UTMR-Trenitalia、Société Nationale des Chemins de fer Français(SNCF)によって運営されています。
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