平成16年度 文部科学大臣賞【科学技術功労者】

受賞業績:新幹線電車用ボルスタレス台車の開発
受 賞 者:岡本 勲(おかもと いさお)
 
【業績】
  1980年代後半、新幹線の300km/h走行が図られ、軽量・高速台車の開発が必要となったが、従来の台車構造では大幅な軽量化・高速化は困難であり、ボルスタレス台車の採用が検討された。当時、ボルスタレス台車は在来線に取り入れられていたが、従来からの経験則に基づく手法で設計されていたため、高速での走行安定性・曲線通過性能等の確保は困難であった。
  氏は、高速走行時の安定性に必要な台車の回転抵抗は、ボルスタレス台車に用いられるヨーダンパにより付加され、その減衰力は定数として定量化できることから、軸箱前後・左右支持剛性およびヨーダンパ減衰力・支持剛性をパラメータとして、台車へ要求される速度と曲線通過特性を定量的に評価できるシミュレーション手法を開発し、要求特性に対して最適な軸箱支持剛性及びヨーダンパ特性等の台車諸元値が決定される定量的な台車設計法を構築し、これを用いて新幹線電車用ボルタレス台車を実現した。
  本開発成果は、合理的な台車設計法として300km/h走行新幹線車両である300系以降の台車の設計に用いられているほか、最近の在来線の高速化にも利用されており、高速新幹線の高い走行安定性と乗り心地の向上に大きく貢献した。

 
【受賞コメント】
  新幹線の最高速度を270〜300km/hに向上するため、"新幹線電車用ボルスタレス台車"を開発してきました。この台車の特徴は、まくらはり(ボルスタ)を省略して台車構成をシンプルにし、また、軸箱の支持剛性やヨーダンパ減衰力の適値を選定する手法を導入して高速走行性能と曲線走行性能をバランス良く向上するようにした点で、最近の新幹線電車に採用されています。本台車の開発には多くの方々にご指導、ご協力を頂き、心より感謝申し上げます。


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