平成16年度 文部科学大臣賞【研究功績者】

受賞業績:樹脂含浸による高温超電導バルク体の耐久性向上に関する研究
受 賞 者:富田 優(とみた まさる)
 
【業績】
  (財)鉄道総合技術研究所では、これまで主に浮上式鉄道の研究開発で蓄積した高度な超電導技術を、鉄道を中心とした広い範囲での実用技術として展開しようとしている。高温超電導は、次世代の超電導技術として、その開発が期待されている。氏は、高温超電導材料の特性向上の研究を続け、高温超電導材料の最大の隘路であった機械強度と熱的安定性の問題に着眼し、真空樹脂含浸技術の採用で両者を一気に解決し、超電導体の飛躍的な特性向上につなげた。これらの新技術によって、一昨年、世界最高記録である17.24テスラの強磁場捕捉に成功している。この成果はイギリスの科学誌Nature(2003年1月30日号)に掲載され、国内でもNHKや各新聞等のマスコミに大きく取り上げられることになった。また、候補者の研究は超電導の基礎的な研究に留まらず、自ら開発した新技術を導入した応用研究に取り組み、現在、磁気分離装置、電力貯蔵装置(フライホイール)、電流リード等の超電導応用技術に大きく貢献している。このように、超電導の基礎的な研究を進めていく上で、常に実用的な視点を持ち、独創的なアイデアと発想で様々な難題を解決してきた功績は非常に大きい。

 
【受賞コメント】
  これまでの研究や自分自身の考えが評価されたことは、この上なくうれしく思います。一層の研究意欲と大きな自信につながります。周囲の方々には心から感謝いたします。超電導技術に出会い、科学技術の面白さを少なからずとも知れたような気がします。高温超電導材料はこれから、素材から応用への橋渡しとなる研究開発が特に重要になると思います。この研究成果を基に今後は実用化への架け橋となる新しい研究フィールドを構築したいと考えています。


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