鉄道分野の地震時安全性を向上させるために、今後予想される大地震に対する構造物の地震対策と列車の脱線対策が求められており、それに必要な設計地震動の設定と地震対策工法の開発が大きな課題となっている。
氏は、構造物の損傷や列車の走行性が地震動の位相特性に大きく依存することに着目し、従来の研究では、その複雑さ故に手が付けられてこなかった位相特性の解明に取組んだ。数学的取扱いを工夫することで、複雑な位相を明快にモデル化し、それに基づく地震波の作成法を示した。この手法を地震対策の実務問題に展開できる工夫を行い、新しい地震対策工法の開発や、地震による列車の脱線原因究明にも貢献した。
本研究成果は、我が国の鉄道分野の耐震評価の標準波として採用されており、地震災害・リスクの低減に大きく寄与することが期待される。
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