アクティブ赤外線法による鉄道コンクリート高架橋の

剥離検知手法の開発

平成19年 8月22日
財団法人 鉄道総合技術研究所

 財団法人鉄道総合技術研究所では、簡便かつ精度良く、構造物を維持管理する手法の開発を行っております。これまでに、検査手法の一つとして、コンクリートの劣化に伴う剥離箇所等を抽出するため、加熱によって生ずる剥離部と健全部の温度差を赤外線画像により把握する、赤外線法の改良を進めています。
 従来から広く行われている「パッシブ赤外線法」は、加熱手段として日射を中心とした気象現象を利用しているため、条件によっては適切な画像が得られないという課題がありましたが、鉄道総研で開発した「アクティブ赤外線法」(添付図1を参照下さい)では、熱照射装置として「キセノンアークランプ」を用いることにより、パッシブ赤外線法では検査に適さない日照条件下でも、剥離部を的確に区別できるようになりました(添付図2をご参照下さい)。なお、本手法で用いる「キセノンアークランプ」は、高さ10m程度の離れた位置にある高架橋のコンクリート表面を加熱することができる性能を有しております。
 また今回、作業性の向上や適用条件の拡大を図ることを目的に、熱照射装置の小型化に対応した画像解析法「マルチショット法」(MS法)という画像処理手法を開発しました。これは、熱照射装置による加熱の最中に、赤外線カメラによる記録を定点で複数回行い(マルチショット)、赤外線カメラで得られる温度データを画素毎に積算し、積算値の大小を濃淡により表示した分布図を作成することで、検査対象部の状態を判定するという手法です。この手法は、加熱により上昇した温度の最終値を測定する従来手法に比べ、小さい加熱量でも鮮明に剥離部と健全部の判定を行うことができます(添付図3をご参照下さい)。

赤外線を利用するコンクリート剥離検知手法
 一般に物体は、温度が高いほど表面から強い赤外線を放射する特性があります。 構造物の健全度を確認する場合、この特性を利用し、対象となる構造物の温度分布を赤外線カメラにより測定して、剥離部と健全部を判定します。
 パッシブ赤外線法の場合は加熱源に日射を主体とした気象現象を利用し、アクティブ赤外線法では、加熱源にキセノンアークランプ等を用いた人工熱源を利用します。



図1 アクティブ赤外線法


図2 アクティブ赤外線法による測定結果


図3 アクティブ赤外線法にMS法を組み合わせた測定結果




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