損傷を受けたRC柱の効果的な補修方法選定フローを作成しました

平成19年11月27日
財団法人 鉄道総合技術研究所

 鉄道総合技術研究所(以下、鉄道総研)では、地震により損傷を受けた鉄道ラーメン高架橋柱(以下、RC柱)に対し、損傷程度に応じた効率的な補修方法を提案することを目的とした研究を進めています。
 本研究で得られた知見から、損傷を受けたRC柱の効果的な補修方法選定フローを作成しましたのでお知らせいたします。この成果は、既設構造物が地震により被災した場合の適切な復旧方法の選定に加え、新設構造物の設計においても復旧性を考慮した最適設計に活用できるものと考えられます。



 鉄道構造物等設計標準(コンクリート構造物)では、地震の作用に対する構造物に要求される性能として、構造物の機能を使用可能な状態に保つ、あるいは短期間で回復可能な状態に留めるための性能である復旧性を設定しています。この復旧性には、RC部材が受けた損傷状況と密接な関係があります。
 RC柱の補修に対しては、これまでは主にせん断損傷(脆性的に破壊に至る損傷)を受けたRC部材の補修方法について検討されてきましたが、阪神淡路大震災以降、せん断損傷の恐れがある既設構造物は補強が施され、新設構造物もせん断損傷させない設計としています。このため、今後は曲げ損傷(粘り強く抵抗して破壊に至る損傷)を受けた構造物の補修が重要になると考えられます。
 そこで、別紙の表に示すRC柱の曲げ損傷のうち、比較的短時間で補修できると考えられる損傷程度MD〜MBを対象に、損傷を与えたRC柱に各種の補修を行い、繰り返し力を加える試験を実施して、以下の知見が得られました。

    @かぶりのはく落がなく、ひび割れ程度の損傷の場合は補修を不要とする。
    なお、ひび割れ箇所から鋼材腐食が生じる恐れがある場合において、耐久性の面から必要に応じてひび割れ注入を施す。
    Aかぶりのはく落があり、軸方向鉄筋の座屈がない程度の損傷は無収縮モルタルによる断面修復を行う。
    B軸方向鉄筋の座屈が生じている程度の損傷は、鋼板巻き立て補修または樹脂モルタル補修を行う。

 これらをまとめ、目視によって速やかに損傷程度を判定し、効果的な補修方法を選定するフローを作成しました。







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