水素ガスを用いたレールガス圧接法を開発しました


平成20年 7月18日
財団法人鉄道総合技術研究所

財団法人鉄道総合技術研究所(以下、鉄道総研)は、従来のアセチレンガスに替えて水素ガスを用いるレールガス圧接法を開発しましたので、下記によりお知らせします。

 
 金属の接合部をガスの炎を用いて高温に加熱し圧接する「ガス圧接法」は、接合部の強度が素材とほぼ同等で、使用機器が比較的小型で現場施工が可能であるため、レールや鉄筋の接合に広く適用されています。
 しかしながら、現行のガス圧接法で用いられているアセチレンガスは、将来的なガス価格の高騰などによる製造中止が危惧されるほか、燃焼で発生する炭酸ガスによる環境負荷も懸念されています。そこで、鉄道総研では水素ガスを用いたレールガス圧接法について検討しました。
 水素ガスは燃焼速度が非常に速く、取り扱いが難しいと言われていましたが、適量のヘキサン(C6H14*1を加えることで燃焼を安定させた「水素ガス燃焼炎発生システム」を構築しました。接合端面の酸化防止に必要な接合部のシールド性が劣る点は、バーナー構造を適正化することによって解決できました。また、ヘキサンを加えた水素ガス燃焼炎は、バーナーの中に炎が逆流する(逆火)現象が従来法よりも発生しにくいため、安全性に優れています。
 60kgレールを対象にした性能評価試験により、この圧接法を用いた接合部は実用に供し得ると確認しました。また、60kgレールを接合した際の炭酸ガス発生量は、アセチレンガスを使用した場合の1/3程度に低減できることもわかりました。なお、この圧接法は、既存装置を改造することで施工可能です。
 
  *1 ヘキサン(C6H14
揮発性の高い無色透明の液体。有機溶媒の一種で、灯油やガソリンに含まれるベンジンの主成分。油脂洗浄などに用いられる。
 
 




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