昨年の内定式で皆さんとお会いした時、私は専務理事の立場であったが、先ほどの理事会で理事長に選任された。この意味で、私も皆さんと同期生のフレッシュマンである。一方、国鉄に39年前に入った研究者の先輩という立場でもあるので、私の経験から、三つのことをお願いしたい。
まず、なるべく早い段階で鉄道事業に貢献できる“よいテーマ”を見つけて取り組むことである。皆さんはすでに修士論文・博士論文を書き、研究者としてのスタートを切っている。自信を持って、あわてずによい課題を見つけて欲しい。この時に大事なことは、お客さまの目線を失わず、ご利用いただく側の立場で何が大切かを考えることである。
二点目は、あまり自分の分野にとらわれず、部外の人、あるいは専門外の人とも幅広く交流を持つということである。部内外でよい研究成果を出している人は社交的な人がほとんどで、広い付き合いの中で刺激を得つつ、自らも刺激を与えている。もっとも身近な交流の場として、母校との付き合いは大切にしていただきたい。
もう一点は、趣味を持つことである。これから、公私共に難しい問題に直面する機会が出てくるが、気分を切り替え、新たな気持ちで取り組めるようにすることが大切である。
予想以上に研究以外の業務が多いと感ずるかもしれないが、自分の携わる仕事のすべてが逞しい研究者になるプロセスであると認識し、信じて進めば必ず新しい展望が開けると思う。いろいろ難しい状況下であるが、お互いに力を合わせて逞しい研究者集団づくりを推進していこう。
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