PLGコイル

1.概要

浮上式鉄道用地上コイルのコスト低減に向けた一つの取り組みとして、単一コイルで推進・浮上・案内全ての機能を兼用できるPLG(Combined Propulsion, Levitation and Guidance System)方式コイルを開発しました。

これは、推進機能と 浮上案内機能をそれぞれ別コイルで構成している従来方式と比べ、構成の簡素化と所要コイル数の削減が可能となり、建設コスト低減が期待できます(図1参照)。

設計寸法としてはコイルピッチを従来浮上案内コイルの2倍(日の字化)とし、上下に配置した巻線コイルを非対称形状とすることにより、各種電磁力特性の改善が図られます。さらに、実用型コイルでは、車両面に表面保護層を配置し、締結部に積層型FRPブッシュを採用することにより、信頼性向上を図っています。

また、地上コイルの保守・運用に掛かるコストの低減のために、個別情報管理用ICタグを内蔵しています。

2.ケーブル配線の施工性検証

PLGコイルはコイル数の削減や取り付け構造の簡素化などによるコスト低減が見込めますが、一方で高耐圧化した案内回路構成用(ヌルフラックス)ケーブルを敷設する必要があるなど、ケーブル接続が複雑化します。

実際のケーブル敷設を検討するために1/10スケールのガイドウェイ模型を製作し、実際の配線検討を行った後、実物大規模のガイドウェイを用いて施工性検証を行いました。

接続ケーブルの必要長さや配線手順、ケーブル固定方法を確認し、現状のガイドウェイ構成から大幅な変更をしなくても施工が可能であることを確認しました(図2)。

参考文献

  1. 高橋紀之,鈴木正夫:PLG方式地上コイルのケーブル配線施工性検証,鉄道総研報告,Vol. 26, No. 5, pp. 29-34, 2012
  2. 鈴木正夫,高橋紀之,饗庭雅之,太田聡:巻線コイルに圧縮成形を適用した低渦電流損失地上コイルの開発,鉄道総研報告,Vol. 26, No. 5, pp. 35-40, 2012
  3. 松江仁,饗庭雅之,鈴木正夫:FRPブッシュを適用した推進浮上案内兼用コイルの応力評価,鉄道総研報告,Vol. 22, No. 11, pp. 17-22, 2008
  4. Takahashi, N. and SUZUKI, M., "Verification of Practical Applicability of Cable Wiring for PLG Ground Coils to Maglev Systems", Quarterly Report of RTRI, Vol. 54, No. 1, pp. 52-58, 2013