2.列車からの落氷雪およびバラスト飛散の現象解明

 積雪地域では、車両に付着した雪や氷の塊が走行中に落下することによりバラストを飛散させ、これが車両に当たって車体破損をもたらすことがあります。この種の雪害は、高速化に伴って在来線においても発生し、効果的・経済的な対策が急務の課題となっています。
 そこで本現象の実態を定量的に解明し、対策を講じる上での基礎データを得ることを目的として、車両床下の着氷雪状況の長期自動撮影、冬期間の沿線気象・積雪調査、車両床下に成長した着氷雪の性状調査を実施しました。また、落氷雪によるバラスト飛散現象の再現試験を行いました。
 現地調査の結果、日平均気温が-4℃以下の時に日降雪量が3cmを超えると車両床下に着氷雪が著しく成長すること(図1)および着氷雪塊の密度は150〜900kg/m3であり、ひと塊になって落下する可能性がある着氷雪の質量は最大で15kg程度であること(図2)がわかりました。また、バラスト飛散現象の再現試験から、雪塊が高速で軌道面に衝突した時のバラストの挙動(図3)および飛散するバラスト数と雪塊衝突速度(≒列車速度)との関係が明らかになりました(図4)。

着氷雪量を4段階に設定:A<B<C<D
図1 着氷雪量と日平均気温及び日降雪量との関係

図2 着氷雪塊の質量と密度との関係(雪質別)

図3 高速度カメラによるバラストの飛散状況

図4 雪塊の衝突速度と飛散高さ33cm以上のバラスト数との関係



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