鉄道沿線で発生する落石のほとんどは運動エネルギー100kJ(≒10t・m)以下であり、それらの対策としてひし形金網を用いた落石止柵が一般に用いられています。しかしながら、施工上の制約からそれらを設置できない箇所が残されており、より効果的な防護柵が望まれています。
そこで、新形の金網(伸長ネット、図1)を考案し、それを用いた簡易な構造の新型落石防護柵を開発しました。伸長ネットはコイル状の素線を編み込んだ金網で、ひし形金網に比べてより立体的な構造であり、変形が大きいため吸収エネルギーを大きく取れます。さらに、新型落石防護柵は簡易な部材で構成でき、低コストである等の利点があります。
新型落石防護柵の性能を確認するため、種々の条件下での実物大衝撃荷重載荷試験を行いました(図2)。その結果、新型落石防護柵は約70kJの落石エネルギーに十分対応でき、支柱に損傷は生じるものの約100kJの落石も捕捉できることを確認しました。さらに、斜面の中腹に設置されることを想定して、地盤条件に応じた支持構造についても検討しました(図3)。
なお、本研究は国土交通省の補助金を受けて実施しました。
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図1 伸長ネット | 図2 落石防護柵の衝撃荷重載荷試験 |
図3 新型落石防護柵の支持構造例
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