2.増粘着材噴射による滑走およびフラットの防止

 現在、ブレーキ時の滑走とフラット発生を防止するために滑走防止装置(滑走再粘着装置)が広く用いられていますが、速度検出器を編成の全軸に搭載する必要があります。一方、増粘着材噴射装置は、編成の先頭軸で使用すれば編成全体の滑走が防止できるため、一部の新幹線と在来線電車で非常ブレーキに連動した滑走防止装置として、すでに実用化されています。この手法を常用ブレーキにも適用できれば、滑走防止装置に比べてはるかに低価格で滑走防止が可能になります。ただし、そのためには、滑走検知に連動させて噴射する等の制御が必要になります。
 そこで、滑走防止装置を持たず、フラットが多発している車両に適用することを目的に、編成先頭台車に搭載する滑走検知・増粘着材噴射制御装置を試作しました。本装置を485系特急電車に搭載し、散水下での常用最大と非常ブレーキの試験を行ないました。その結果、先頭車の滑走検知時に増粘着材噴射を1回、3秒間行なえば、ブレーキを緩めなくても、編成全体のその後の停止までの滑走とそれによるフラットの発生を防止できることを明らかにしました(図1)。

図1 485系電車における滑走検知に連動した増粘着材噴射の効果
(編成先頭台車のうち、第2軸で滑走が発生した例)



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