3.線路上空建築物の新しい構造設計法

 橋上駅に代表される、低層の線路上空建築物に対して、要求性能とその評価手法を検討し、新しい構造設計法を策定しました。
 従来の設計法では、線路直角方向の地中梁は省略できても、線路方向の地中梁は設ける必要がありました。しかし、種々の解析による検討の結果、杭の耐力と剛性を従来より上げることおよび地震時の杭の挙動を適切に把握することにより、ホーム下部等に設置されていた線路方向の地中梁も省略できることを明らかにしました(図1)。
 また、新しい設計法では応力・変形解析を従来の弾性解析から地盤〜杭〜上部建築物の一体構造の非線形解析に変更し、大変形時までの挙動を把握することにより、地中梁の無い影響を設計に反映できるようにしました。あわせて、杭や柱脚工法の多様化にも対応できるようにしました。
 これらにより、ホーム下の地中梁設置工事が省略でき、線路上空の人工地盤部分の躯体工事費では10%程度のコストダウンが見込まれます。
 なお、これらの成果は現行の設計標準「線路上空建築物(低層)構造設計標準」の改訂に反映されました。また、この設計標準に準拠した橋上駅の増築が既に計画されており、今後はJR・民鉄を含めて幅広い利用が期待されます。

図1 地中梁を省略した線路上空建築物(橋上駅)



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