5.新しいコンクリート高架橋構造

 都市内の連続立体交差や高速鉄道用の高架橋では、経済性に優れ、騒音振動が少なく、地震時に損傷が少ない構造が求められています。そこで、従来のラーメン高架橋に代わるコンクリート高架橋として、防振直結軌道用の単線分離型の「軌道支持桁」による軽量な上部構造と、鋼製ブレース(斜材)および鋼製パネル式ダンパーを付加した「高剛性・高減衰橋脚構造」から構成される新しい桁式高架橋構造を開発しました(図1)。
 軌道支持桁は、単線桁を基本とする中空断面またはπ型断面のプレキャストコンクリート構造(図2)で、単位長さ当たりの上部構造質量をラーメン高架橋(約20t/m)の1/2にできます。また、軽量化に伴う構造物騒音への影響がないことを実物大桁にて確認しました。
 橋脚については、1/2.5模型高架橋を用いた試験によって地震動により生じる横振動を効果的に抑制できること(図3)、高い耐荷力を実現できること、大きな地震を受けてもコンクリート部材の損傷が少ないことなどを確認しました。
 これらの試験成果を踏まえて、この新しいコンクリート高架橋構造を設計するために必要な設計マニュアルと軌道支持桁の標準設計図を整備しました。また、この高架橋構造は従来の高架橋に比較して15%程度の建設コストの軽減が可能です。
 なお、本研究は国土交通省補助金を受けて実施しました。

図1 新しいコンクリート高架橋構造の構成

図2 π型断面の軌道支持桁による高架橋構造
(ブレースを柱中央部に定着した例)

図3 地震動を用いた加振試験による振動抑制効果
(入力加速度と応答変位との関係)



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