6.鉄筋腐食したコンクリート構造物の経済的補修法

 高架橋等鉄道コンクリート構造物において、鉄筋腐食に起因するコンクリートの剥離、剥落等の劣化が懸念されており、劣化度に応じた効果的かつ経済的な補修方法の開発が望まれています。
 塩害により劣化したコンクリート構造物の補修法には、防錆材を使用する断面修復工法が一般的に用いられます。総研では、既に塩分吸着剤およびこれを活用した防錆型補修材2種類(防錆ペーストと防錆モルタル)を開発するとともに、これらを活用した補修工法(SSI工法:図1a))を実用化しています。今回、さらに経済的な補修法の開発を行いました。
 除塩の不十分な海砂を用いて打設されたコンクリートのほとんどは、2kg/m3程度の塩化物イオンを含んでいます。この種のコンクリートを経済的に補修する工法を検討するために、鉄筋防錆材として防錆ペーストのみを使用した場合(図1b))の防錆性能確認試験と実構造物レベルでの試験施工を実施しました。その結果、防錆ペーストが最低限度鉄筋の半周程度に施工されていれば、塩化物イオン量が3kg/m3程度までは腐食なしと判断されることが補正自然電位の測定によりわかりました(図2)。この方法は防錆モルタルを使用しないため、従来のSSI工法に比べても、およそ20%程度コスト削減が可能となります。

図1 SSI工法の概念図 図2 コンクリート中に含まれる
塩化物イオン量と腐食の関係



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