8.トロリ線の非接触凹凸測定方法

 架線・パンタグラフ間の接触力変動における主な要因の一つとして、トロリ線凹凸があります。トロリ線凹凸はパンタグラフの離線やトロリ線局部摩耗等の要因となり、電車線保全の観点から精度の高い測定法の開発が望まれていました。
 このため、2組の非接触変位計を用いてトロリ線傾斜を測定しこれを積分して凹凸形状を算出する計測装置を保守用車に取付けて、5〜10km/h程度で走行しながら連続的に計測する方法を開発しました(図1)。この方法はトロリ線凹凸を非接触で計測でき、また保守用車の上下振動の影響を受けにくいという利点があります。これにより、従来方式では1mm程度であった測定精度が約0.1mmとなり、大幅な精度向上が達成できました。
 この計測方法により、ハンガ間隔の弛度(ちど)凹凸、波長0.3〜1m程度のドラム巻きくせ凹凸、波長0.1〜0.2m程度の波状摩耗凹凸等の特徴が確認できます(図2)。また、これらをスペクトル分析することにより長区間にわたる凹凸スペクトル分布状況を明らかにすることができます。
 これらの測定結果から、トロリ線の張力やハンガ軸力、曲線引金具の引き上力等を推定することができるため、電車線設備状態の診断、異常検知・予知等の方法を検討する予定です。

図1 トロリ線の凹凸測定方法 図2 トロリ線の凹凸測定例



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