11.レール側摩耗メカニズムの解明

 レール側摩耗は保守上の問題となっています。そこで、側摩耗の進行を遅らせ、レール交換を低減する方策を明らかにするために、車両と軌道の接触条件が側摩耗に与える影響を実態調査と1/2模型車輪を用いた室内試験により検討し、側摩耗進行のメカニズムについて研究しました。
 実態調査より、曲線半径(R)が400mと900mの実軌道におけるアタック角と横圧の発生傾向を把握し、それを基に室内摩耗試験を行いました。その結果、アタック角と横圧の側摩耗への定量的な影響を求めました(図1)。図より、ある特定の条件で側摩耗進みの傾向は実軌道における測定結果と概ね一致していることや、列車の通過トン数に応じた側摩耗形状進行の様子が理解できます。さらに、現地測定で得られた断面形状のデータに基づいて行った3次元弾塑性有限要素法解析から、摩耗したレールと車輪のいくつかの組み合わせによる発生応力および接触位置が変化する様子が分りました(図2)。また、現在使用している車輪との接触応力が可能な限り均等になる新しいレール断面を検討し、室内試験により、その側摩耗の低減効果を確認しました。今後は、より摩耗低減効果の大きい車輪とレールの断面形状および側摩耗のより精度の高い予測・評価手法を検討する予定です。

図1 アタック角及び横圧と摩耗進み量
(輪重85kN相当)
図2 円弧車輪と60kgレールの組合わせ
による最大圧縮応力分布
(輪重85kN・横圧68kN)



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