1.新幹線騒音の音源解析・予測手法

 新幹線の騒音を予測し有効な低減対策を施すためには、新幹線騒音の音源を分析し、精度の高い予測手法を開発することが重要です。
 まず、新幹線騒音の騒音要素を音源によって集電系騒音、車両下部騒音、車両上部空力騒音、構造物騒音に分類し、アレイ式指向性マイクロホンによる実測データをもとに、観測点における各音源の寄与を算出する手法を開発しました。次に、音源の寄与の結果をもとに新幹線騒音をエネルギー量から予測する手法を構築しました。
 この予測手法により、現在営業中の全ての新幹線車両について、軌道、構造物、列車速度等の条件を入力すれば騒音レベルを予測することができます(表1)。この手法は、エネルギーベースの計算モデルを用いているため、時間重み特性S(動特性SLOW)での最大レベル( )だけでなく、単発騒音暴露レベル( )および等価騒音レベル( )の予測が可能です。
 予測値と実測値の相関について統計的な解析を行った結果、予測値と実測値との差の平均値は0.7dB、標準偏差は1.5dBであり、予測手法が十分な精度を持つことを確認しました(図1)。

図1 提案する予測手法による最大レベル の予測値と実測値との比較
(高架橋区間、防音壁あり)

表1 予測手法の適用範囲

 図2は、本手法を用いてスラブ軌道とバラスト軌道の沿線騒音レベルを音源からの距離に関して予測したものです。また、各騒音要素および全体音の速度依存性を求めることができます(図3)。
 本手法は、新幹線騒音を予測する際の標準的な手法として広く活用できます。

図2 沿線騒音レベル( )の予測例(速度:275km/h、直型防音壁:R.L.+2m)

図3 各騒音要素の騒音レベル(単発騒音暴露レベル)と速度依存性 (コンクリート高架橋:8m高さ、普通スラブ軌道、直型防音壁:R.L.+2m)


HOME
RTRI ホームページ

Copyright(c) 2003 Railway Technical Research Institute,Tokyo Japan, All rights reserved.