5.耐震性に優れたセメント改良補強土橋台

 橋台背面の盛土では地震による揺すり込まれと橋台自体の前倒れなどに伴う沈下のため、大きな段差が生じます(図1)。このような橋台背面の盛土の沈下は、列車の走行安定性に重大な影響を及ぼすため、防止対策の必要性が指摘されていました。特に大地震動に対しても十分な耐震性を有し、かつ経済的な新型橋台の開発が望まれていました。そこで、各種の橋台対策工に関する一連の模型振動実験を行い、耐震性を飛躍的に向上させたまったく新しい概念の橋台構造を提案することができました。
 提案した橋台は、「セメント改良補強土橋台」と称し、背面盛土部にセメント安定処理アプローチブロックを用い、アプローチブロックと橋台躯体とを補強材(ジオテキスタイル)で連結する構造です(図2)。これにより、橋台と背面盛土の境界で生じる段差を解消し、耐震性が飛躍的に向上します。補強材で地震力を分担することによって躯体断面や基礎がスリムになるため、従来橋台に比べて2〜3割程度の工事費低減が可能となります。
 また、本橋台に対する設計法を提案し、九州新幹線において実橋台が施工されました(図3)。今後、整備新幹線における標準橋台として全面的な採用が予定されています。
 なお本研究は、東京大学、鉄道建設公団と共同で実施したものであり、運輸施設整備事業団の基礎研究制度による研究成果です。




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