7.列車衝突時の乗客被害軽減対策のための乗客挙動解析

 事故や災害などにより列車が衝撃を受けた場合の乗客挙動のシミュレーション解析を実施し(図1)、乗客の被害を低減するための、より安全性の高い、車両の衝撃吸収構造および車内設備を開発するための基礎データを得ることができました。
 まず、つり手などの支持がなく立っている乗客に関して、客室床面レベルでの衝撃加速度と頭部傷害値(HIC:頭部傷害が起こる可能性を示す指標)の関係を明らかにしました(図2)。このデータは、列車衝突時に乗客に重大な傷害を与えないための車両衝撃吸収構造の設計に反映することが可能です。
 次に、通勤列車の衝突事故において乗客が傷害を負う典型的なパターンについてシミュレーション解析を実施しました。ロングシート前に立っている乗客が頭部を床面に衝突して傷害するケースに関しては、乗客同士の位置関係の違いによって傷害の大きさに差が生じ、ロングシート前に立っているふたりの乗客の車巾方向のずれが0の場合が最も頭部傷害値が小さく、つり手はロングシートに並行して一列に並んでいる現行の配置が最も良いことがわかりました(図3)。一方、ロングシートのパイプ型の手すり脇に座っている乗客が、横方向のパイプで胸部を傷害するケースに対して、乗客が手すりに衝突した場合に、衝撃によって生じた手すり固定部回りのトルクがある一定値(固定開放トルク)を超えた場合に固定を開放する方式を提案しました。与えられた衝撃条件に対して、固定開放トルクを変動させた場合の胸部傷害値の変化を調べたところ、固定が開放される領域における傷害低減効果を確認することができました(図4)。








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